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経営理念とは?一流企業の例に学ぶ、理念の作り方を紹介

経営理念とは、経営者が抱く信念に基づいた、企業が行動方針を示すものです。その企業果たすべき使命や、最終的な目標。経営理念として明文化された経営者の想いを行動指針として、企業は日々活動します。

大きな実績を挙げる有名企業は、どんな経営理念の元に活動をしているのでしょうか。今回は名だたる一流企業の経営理念をご紹介します。

要点1
経営理念は、企業にとって様々な役割を果たす
要点2
一流企業の経営理念には、それに基づくエピソードが必ずある
要点3
企業のエピソードと経営者の理念を併せて見ることが大切だ


目次[非表示]

  1. 1.経営理念が果たす役割とは
    1. 1.1.経営の判断基準や従業員の行動指針になる
    2. 1.2.企業のブランディングになる
  2. 2.参考にしたい!企業の経営理念とストーリー
    1. 2.1.大企業を支える経営理念
      1. 2.1.1.京セラ
      2. 2.1.2.ニトリ
      3. 2.1.3.トヨタ
    2. 2.2.ベンチャー企業の経営理念
      1. 2.2.1.ビズリーチ
      2. 2.2.2.メルカリ
      3. 2.2.3.Amazon
  3. 3.まとめ

経営理念が果たす役割とは

多くの企業が持つ経営理念には、様々役割があります。

経営の判断基準や従業員の行動指針になる

行動理念や目標が明文化された経営理念は、社員の誰もが目にすることができます。

異なる考え方や目標を持つ人が集まる会社で、社員それぞれが好き勝手に行動しては、チームでの協力が成り立たず、企業としての活動をすることは難しいでしょう。

経営理念は社員を同じ方向に向かせる役割を果たします。経営者の理念という最大の目的を判断基準とすることで、企業が目指す目的を意識した行動につなげることができるのです。

企業のブランディングになる

経営理念には、企業が持つ想いや目標を、対外的に知らしめる役割もあります。創業の理念や果たすべき使命などの企業の存在理由を発信することで、企業のイメージが構築やブランドへの成長に繋がります。

明確なブランドが築き上げられた企業には、そのブランドに共感した人材が集まります。また、理念に賛同した人々からの協力も得られるでしょう。ブランディングの成功は、企業の成長を後押ししてくれるのです。

参考にしたい!企業の経営理念とストーリー

一流企業の経営理念には、背景にストーリーがあるものです。そうしたエピソードを掘り下げていくことで、より経営理念への理解が深まり、企業のビジョンが明確に見えるようになります。

大企業を支える経営理念

まずは、昭和の時代から事業を続ける企業の発展を支える、時代が変わっても色あせない経営理念を紹介します。

京セラ

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、

人類、社会の進歩発展に貢献すること。

引用:https://www.kyocera.co.jp/company/philosophy/index.html

KDDI創業、日本航空の再建でも知られる「経営の神様」稲盛和夫氏が1959年に設立した京セラの経営理念は、社員と社会の幸福の追求です。創業当初は「自分たちの技術を世に問う」ことを目的としていた稲盛氏でしたが、新しく入ってきた従業員たちは夜遅くまでの残業が当たり前になっていることに不満を感じていました。話し合いのすえに会社経営は社員や家族の将来を守り、社員全員の幸福を追求するものでなければならないと気づいたといいます。

社員が思うように働ける環境を整えてこそ、社会貢献が実現する。そんな稲盛氏の理念は、SDGsに通ずる持続可能な未来をいち早く見すえていました。

参考:https://www.kyocera.co.jp/inamori/profile/episode/episode02.html

創業当初は経営の経験も知識もなかった稲盛氏が、最終的にもっとも大事にするようになったのは「心」です。私利私欲に端を発した願望ではなく、きれいな心で描き出した夢こそが、真の成功につながるのだといいます。

京セラフィロソフィ』は、稲盛氏が試行錯誤の末にたどり着いた経営哲学に触れられる、ビジネスマン必読の一冊です。

ニトリ

住まいの豊かさを世界の人々に提供する。

引用:https://www.nitori.co.jp/about_us/philosophy.html

「お、ねだん以上。」のキャッチコピーで知られるニトリは、1972年に似鳥昭雄氏によって設立されました。1960年代、アメリカで家具店を目にした似鳥氏は、日本とは比べ物にならない品質と価格設定に衝撃を受けました。洗練された家具を、誰もが手にできる価格で提供することに生涯を懸けると決めた似鳥氏は、家具業界では珍しい製造小売業の形態をとり、一代でニトリを国内有数の家具メーカーへと育て上げました。

似鳥氏の誓いは「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」という「ロマン」、企業理念となりましたとら。似鳥氏にとってのロマンとは、絵空事ではなく追いかけて実現し続けるものです。そのロマンが社員全体に広がった結果、ニトリは2021年2月期には34期連続の増益増収を果たしました。

ニトリの文化の根幹となる顧客の幸福に真摯に向き合う似鳥氏の哲学には、著書『ニトリの働き方』で触れることができます。

トヨタ

豊田綱領

豊田佐吉翁の遺志を体し

一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし

一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし

一、華美を戒め、質実剛健たるべし

一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし

一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし


引用:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/data/conditions/precepts/index.html

https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/taking_on_the_automotive_business/chapter2/section2/item4_a.html

日本が世界に誇る自動車メーカー・トヨタ自動車を中核とするトヨタグループの「豊田綱領」は、創始者である豊田佐吉氏の遺訓を豊田利三郎氏、豊田喜一郎氏が中心となって成文化したものです。1935年に発表されて以来、トヨタグループ各社に受け継がれ、全従業員の行動を支える指針であり続けています。

1992年には、「豊田綱領」の精神を受け継ぎ、現代に合った言葉に改めた「トヨタ基本理念」が発表されました。トヨタ独自の経営哲学は、現代においても色あせることはありません。リーマン・ショックやリコール問題、東日本大震災といった未曾有の危機のなか、トヨタは時価総額を伸ばしています。トヨタ自動車株式会社代表取締役執行役員社長兼CEOの豊田章男氏は、経営者としてつねに「豊田綱領」に立ち返り、それに沿って判断をしてきました。章男氏が率いるトヨタが、いかにして危機を乗り越え、どんな未来へ向かうのか。片山修氏の著書『豊田章男』で、その一端を垣間見ることができます。

ベンチャー企業の経営理念

次に、大企業が参入しにくい分野で革新的なアイデアを武器にビジネスを展開するの、ベンチャー企業の経営理念を紹介します。

ビズリーチ

すべての人が「自分の可能性」を信じられる社会をつくる

引用:https://www.bizreach.co.jp/mission/

スカウトやヘッドハントによる転職・求人サービスであるビズリーチは、南壮一郎氏により設立されました。東北楽天イーグルスの立ち上げに携わった南氏は、2007年に楽天を退職し、転職活動をするようになると、転職市場に疑問を抱くようになりました。そして、2009年4月に株式会社ビズリーチを設立しました。

南氏自身が感じた求職側と求人側のミスマッチを解決すべく、ビズリーチでは管理職・グローバル人材に特化した転職サービスを展開。優秀な人材の確保が難しいとされる管理者層において、多くのマッチングを実現しています。

ビズリーチが掲げる「すべての人が「自分の可能性」を信じられる社会をつくる」というミッションは、南氏自身が体験した挫折と、可能性の実現が背景にあります。現在はビズリーチの親会社であるビジョナル株式会社の代表取締役を務める南氏のストーリーは、蛯谷敏氏の著書『突き抜けるまで問い続けろ 巨大スタートアップ「ビジョナル」挫折と奮闘、成長の軌跡』で知ることできます。

メルカリ

新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る

引用:https://about.mercari.com/about/about-us/

日本のフリマアプリ市場を牽引する株式会社メルカリは、2013年2月に設立されたベンチャー企業です。同年に登場したフリマアプリ「メルカリ」は、数年で国内全域に浸透し、2018年6月の東証マザーズ上場時には時価総額7,000億円を超え、大きなインパクトを残しました。

創業者であり、代表取締役CEOの山田進太郎氏が世界一周旅行中に抱いたという「限りある資源を循環させ、より豊かな社会をつくりたい」という理想から生まれたメルカリは、今や人々をつなぎ国内最大級のCtoCマーケットの地位を確立しています。

メルカリの登場は、ベンチャー不毛の地と言われ続けた日本のビジネス市場に衝撃を与え、新たな可能性を示しました。国内ビジネス史に残る一大スタートアップの軌跡に興味があれば、奥平和行氏の著書『メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間』をご一読ください。

Amazon

地球上で最もお客様を大切にする企業になること

引用:https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=4967767051

海外企業にとっても経営理念は重要なものです。今や数々の事業で世界の覇者となったAmazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」という理念を掲げています。1993年にジェフ・ベゾス氏によって設立された同社は、1995年に、オンライン書店としてのサービスを開始しました。その後販売品目を拡大し、電化製品やスポーツ用品、日用品など多種多様な商品を扱う総合オンラインストアへと成長を遂げました。

近年は、クラウドサービスであるAWSやモバイルサービス、クレジットカード事業など、事業範囲も拡大。もはや全世界のインフラとして、人々の生活を支えています。

あらゆるサービスを通じて顧客の生活を充実させるAmazonの仕組みは、徹底した秘密主義により、外部からは容易にのぞけません。そんなAmazonのビジネスモデルや展望を鳥瞰できる一冊が『amazon 世界最先端の戦略がわかる』です。あらゆる業界を変える可能性を秘めたAmazonの仕組みを知ることができる本書は、ビジネスパーソンの必読書といえるでしょう。

まとめ

優れた実績を上げる企業の経営理念からは、それぞれの企業独自の経営哲学を知ることができます。明確な経営理念が行動指針となり、理念を実現する結果へとつながっていきます。今回は、各社の経営理念と、それにまつわるストーリーを紹介しました。気になる会社が見つかったら、ぜひ関連書にも手を伸ばしてみてください。

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