新型コロナウイルス感染拡大による生活様式の変化など、近年では類を見ないほど社会の流れが大きく変動しています。そのなかで、人々が求めるサービスも変わり、従来の価値観では満たせない需要も生まれています。企業が成長していくためには、トレンドをとらえた新規事業の展開が必要不可欠です。では、新規事業のアイデアをスムーズに生み出すためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。今回はそのコツについてもご紹介します。要点1まずはビジョンを描くことが重要要点2新規事業のアイデア出しは5つの観点から行う要点3効果的な案出しをするには、日頃の多彩なインプットが効果的目次アイデア出しの前に整理しておきたいことただ目新しい事業を展開すれば新規事業になるというものではありません。ビジネスは何らかの目的を満たすためにおこなうもの。新規事業のアイデアを出そうとする前に、そのアイデアを通じて達成したいことを明確にイメージしておく必要があります。理想のゴールを描く担当責任者は、会社から求められる新規事業の目的を意識する必要があります。現在会社が持っている技術やノウハウを転用したいのか、それとも異業種への進出の足がかりとしたいのかなど、求められる結果によって新規事業の方向性は大きく異なります。最終的なゴールと、そこから想定される結果を前提に考えることで、アイデアがミスマッチになることを防げるでしょう。どんな課題を解決したいかを描くまた、誰のどんな課題を解決するためのものかを意識することも必要です。「仕事上でよく起きるトラブルを防ぎたい」「毎日ちょっと手間がかかる行動を効率化したい」など、身近に起こりうる問題を考えることで、その解決法から具体的な新規事業の姿が見えてくるでしょう。『妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方』上記とは対照的に、課題解決を前提としない考え方もあります。『妄想する頭 思考する手』では、イノベーションのスタート地点に解決すべき課題があるとは限らないと提言しています。ソニーのウォークマンのように、開発チームが追求したいことに没頭した結果として起きた「非真面目」なイノベーションの例も紹介されています。新規事業のアイデアを出す5つの考え方ビジネスの成功は、市場の変化など社会情勢の移り変わりに大きく左右されます。現在は好調な事業が、数年後には急激に下火になることも珍しくありません。しかし移りゆく時代にマッチした新規事業のアイデアは、簡単に生まれるものではありません。魅力があり成果を挙げられるアイデアを生み出すには、5つのプロセスを踏んだ発想が求められます。既存事業をしっかり見直す現在順調に推移している既存事業があるなら、その事業をしっかり見直してみましょう。順調な事業は、会社の得意分野が活かされている結果の産物です。その自社の強みを改めて分析し、抽出した強いノウハウを新規事業のアイデアにつなげていきましょう。他業種の成功事例を参考にするすでに評価されているビジネスモデルを学ぶことで、新しいビジネスへの応用方法に気づける場合があります。特に、自社がまったく関わってこなかった業界に対しては、普段の業務において目を向けることが少ないからこそ、そこに事業のヒントが眠っています。近年では、一定期間の定額サービスである「サブスクリプション」のビジネスモデルが注目を集めています。インターネットの使い放題サービスから急速に広がったこのモデルは、今やカーシェアリングや飲食店での食べ放題など、さまざまな分野に広がりを見せています。他業種において成功を収めた事例を自社のサービスに転用してみることで、新しいサービスのきっかけが見つかるかもしれません。競合の取り組みを調査する自社が新しいビジネスを模索しているときは、競合である同業他社も同じように悩んでいるものです。その競合他社の取り組みは、自社にとっても大きなヒントになってくれるでしょう。とはいえ、他社で成功しているビジネスをそのまま真似しても、同じように成功できるとは限りません。それがなぜ成功し、一方でそこにどんな弱点があるのかを分析することで、他社が実現している満足度を上回るアイデアを考える必要があります。調査対象は日本国内だけでなく、海外にも広げるとよいでしょう。日本にまだ取り入れられていないビジネスモデルをいち早く導入するという意味でも、同業他社が参入できていない事業のアイデア出しにつながるかもしれません。ユーザーインタビューを実施する既存のサービスに対する不満や、サービスに対して求められていることを知るには、実際にサービスを利用しているユーザーに聞いてみるのが近道です。ユーザーの声から見える、サービスを提供している側だと思いつかないような問題や提案には、新規事業につながるヒントが多く潜んでいます。ユーザーの声を聞くなら、できるだけ生の声 に耳を傾けることがおすすめです。BtoBの事業ならサービスを利用している担当者に直接インタビューをしてみます。BtoCのサービスならお客様窓口に寄せられた意見を集計したり、アンケートをとったりするのもよいでしょう。そうしていただく意見が必ずしも理路整然とした内容であるとは限りませんが、漠然とした不満の中に多くの企画のタネが隠されているはずです。自社の経営理念に立ち返る新規事業のアイデアを出す際には、自社の経営理念に立ち返って考えてみることも大切です。経営理念は、会社の根本となる経営者の考え方や価値観を明文化したもの。それは、何のために事業をするのか、誰にメリットをもたらすために事業を行うのかを教えてくれます。たとえ勝算の高いアイデアが出たとしても、経営理念に反するビジネスでは、企業の価値やブランドイメージを下げることにもなりかねません。アイデア出しに詰まったときほど、自社の経営理念に立ち返り、何を実現するための企業であるかを意識しましょう。『破壊的イノベーションの起こし方 誰でも使えるアイデア創出のフレームワーク』イノベーションの元々の意味は「新結合」で、「これまで組み合わせたことのない要素を組み合わせることによって新たな価値を創造すること」を指します。上記の5つの考え方のような項目を複数検討し、それぞれを掛け合わせることで、新しいアイデア生み出せるでしょう。新しいアイデアをチームで生み出すには?新規事業のアイデア出しでは、一人で考えてもすぐに詰まってしまうでしょう。複数人で議論を行い、お互いの意見をヒントにし合ってこそ、多彩なアイデアが生まれてくるものです。一方で、ただ集まって意見を言い合うだけでは、まとまりをもった結論が出ないおそれもあります。チームで出し合ったアイデアをまとめるためのポイントをおさえておきましょう。ワークショップを実施するチームでのアイデア出しには、フレームワーク(発想法)を活用したワークショップがオススメです。まったく制限を設けず完全に自由な状態で意見を出そうとしても、かえって出にくくなるもの。アイデア出しを促すフレームワークによって思考の流れを作ることで、多くのアイデアを生み出せるようになるでしょう。ブレインストーミングをして出てきたアイデアをグループ分けして発展させる「KJ法」や、9つのチェック項目に沿ってアイデアを出す「オズボーンのチェックリスト」などが有効です。多様なインプットとアウトプットを繰り返す多くのアイデアを生み出すには、さまざまな知識や情報のインプットが必要不可欠です。アウトプットが不足してもいけません。インプットがなくてはアイデアを生み出すための材料がなく、アウトプットがなければ知識を入れただけで終わってしまいます。インプットとアウトプットの繰り返しは、アイデアの質の向上に直結します。どちらかに偏ることなく、蓄えた情報をもとにしたアウトプットを続けるように心がけましょう。『本質思考 MIT式課題設定&問題解決』インプットとアウトプットは本質に沿う形でことが重要です。『本質思考』では、今目の前で起こっている現象に関連して、どうすれば本質的なインプットとアウトプットのループを生み出せるかについての考え方を解説しています。アイデア出しに着手する前に、本書を一読してその思考方法を身につけることをおすすめします。新規事業のアイデア出しを活性化させるflier法人版とは最後に、当社フライヤーが提供するサービス「flier法人版」を活用した新規事業のアイデア出しについてご紹介いたします。flier法人版は、2,600冊を超えるビジネス書籍の要約を自由に閲覧できるサービスです。厳選されたビジネス書を、1冊約4,000字に要約。新規ビジネスのヒントとなるさまざまな事例を、わずか10分でインプットできます。また共有掲示板として活用できる「学びメモ」にアウトプットを繰り返し、チームメンバーと知見を共有することも可能。メンバーからの学びもインプットできるため、チームでのワークショップが活性化します。他業界の情報を素早く手軽に学べるflier法人版は、新規事業のアイデア出しの心強い味方となってくれるでしょう。新規事業のアイデア出しはインプットとアウトプットから企業の成長を支える新規事業は、良質なアイデアから生まれます。アイデアは、日々の疑問や学んだ知識がヒントとなるもの。そして一人ではなく、チームでの意見交換により生まれるものです。新規事業のアイデアは他業種からのヒントによって得られるだけでなく、自社の得意分野と経営理念を振り返ることで見つかることもあります。会社を支え大きく飛躍させるような新規事業を生み出すためにも、広い視野をもって多くの情報を取り入れていきましょう。Revenue growth photo created by rawpixel.com - www.freepik.com