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リカレント教育を企業で導入するには?

移り変わりが激しい現代において、社員の学び直しを促す「リカレント教育」に注目が集まっています。一度社会に出てから再度教育機関での教育を受けるリカレント教育とは、具体的にどのような制度なのでしょうか。

今回はリカレント教育制度の概要と企業におけるメリット、導入に必要なポイントについてご紹介します。

要点1
不確実性の高い情勢で、リカレント教育が注目されている
要点2
企業がリカレント教育を導入するメリットは大きい
要点3
リカレント教育の導入は一朝一夕ではできない。まずは身近にできることから


目次[非表示]

  1. 1.リカレント教育とは?
    1. 1.1.リカレント教育の目的は?
    2. 1.2.生涯学習との違いは?
  2. 2.リカレント教育が注目されている背景
    1. 2.1.AIやIoTをはじめとする、急速な技術の発展
    2. 2.2.人生100年時代の到来
  3. 3.今、企業がリカレント教育に着目する理由
    1. 3.1.企業の競争力強化につながる
    2. 3.2.優秀な従業員の採用につながる
    3. 3.3.雇用の流動性に対応することができる
  4. 4.日本企業のリカレント教育の導入事例
    1. 4.1.ミクシィ
    2. 4.2.ヤフー株式会社
    3. 4.3.サイボウズ
    4. 4.4.MSD
  5. 5.リカレント教育を企業が提供するには
  6. 6.社員の多様な学びをサポートする、flier法人版
  7. 7.まとめ


リカレント教育とは?

リカレント教育とは、教育機関での学習と社会での就労を繰り返す教育制度を指します。リカレント(recurrent)は「再発」「循環」「回帰」といった意味を持つ言葉であり、学習から就労へ一方通行で向かうのではなく、相互に繰り返しスキルや知識を身につける行為を意味しています。

リカレント教育の目的は?

リカレント教育の目的は、仕事において求められる知識の習得やスキルの向上です。すでに就労している人がさらなるキャリアアップを目指し、現場では身につけにくい知識やスキルの習得にチャレンジできるのが大きなメリット。また様々な事情で高等教育を受けられなかった人や、定年退職で一度は現役を引退した人が、学び直しを通じて新たな活躍の場を見出すきっかけとしても期待されています。

「学習する組織」入門 自分・チーム・会社が変わる持続的成長の技術と実践

こうしたリカレント教育の実現には、一個人だけではなく、企業自体も学習を体系化させていかなければ実現しません。またこうして所属する従業員が経験した学習は、いずれ組織にも大きな還元をもたらします。組織学習のベストセラーである『学習する組織』でも、組織としての学習能力が高い企業が優位であるとした上で、学習し続けられる組織になるための要件が詳細に解説されています。

生涯学習との違いは?

リカレント教育と同様に、一生涯の学びを表す言葉として挙げられるのが「生涯教育」です。リカレント教育と混同される場合もありますが、このふたつの違いは学ぶ目的にあります。

生涯教育は、豊かな人生を過ごすためにあらゆるジャンルの学びに挑戦する行為全般を指します。資格や語学といった仕事に関係するものに限らず、スポーツやゲーム、ボランティアなど、その対象は様々です。学んだ先の目的を意識しない、生きがいややりがいを重視した学びも含まれる、広範囲の学びを含んでいます。

リカレント教育は、学習を通じて仕事に役立てる知識やスキルを身につけるための教育に限定されます。つまり、学んだ内容を仕事に活かすことが前提とされているのです。

リカレント教育は生涯学習の一部として捉えられることもありますが、それぞれ異なる目的を持つため使い分けには注意が必要です。

リカレント教育が注目されている背景

海外で生まれたリカレント教育は、日本国内でも注目を集めています。人々の意識がリカレント教育へ向かう背景には、大きな2つの理由があると考えられています。

AIやIoTをはじめとする、急速な技術の発展

近年、様々な技術が急速な発展を遂げています。5年前、10年前には取り沙汰されなかったAIやIoTといった技術は、今やテクノロジーの中心に位置するほどに成長しました。そのため企業にとっては、それらの専門的な知識を持つ社員の育成が急務であり、リカレント教育による急速な社員育成が求められているのです。

人生100年時代の到来

人の寿命は年々延び続けており、今後平均寿命が100歳を超えることが予想されています。日本国内でも、定年の時期や年金の支給開始時期が後ろ倒しに。今後さらに“老後”と言われる時期は先送りされ、生涯に渡って収入を得る必要が生まれるでしょう。人生100年時代におけるリカレント教育は、断続的に新たなスキルを身につけ、安定した収入を稼ぎ続けるための方法として注目されています。

今、企業がリカレント教育に着目する理由

リカレント教育は、教育を受ける個人だけでなく、企業側にも多くのメリットがあります。日本国内でも大きな3つの理由により、リカレント教育の制度を導入する企業が増加しているのです。

企業の競争力強化につながる

テクノロジーやビジネス手法が目まぐるしく変化する現代において、常に最新の知識やスキルを学び続けなければ企業が生き残ることは困難でしょう。リカレント教育による従業員のスキルアップは、そうした変化の激しい時代に対応する効果的な方法です。

さらに従業員個々が身につけた知識やスキルを組織に還元すれば、企業全体としてのパフォーマンスアップにも繋がり、企業全体の競争力アップにも期待できるでしょう。

優秀な従業員の採用につながる

雇い入れた優秀な人材を定着させるためには、企業に魅力が無ければなりません。転職によるキャリアアップが当たり前となっている現代において、従業員教育の充実は大きな魅力になる要素です。

リカレント教育の導入は、そうした学びの機会を求める転職者に対する有効なアピールのひとつ。従業員が身につけたスキルや知識を企業に還元してくれることも期待できるでしょう。

『メンバーの才能を開花させる技法』

メンバーを育てるリーダーは、自分の考えを押し付けるのではなくメンバーに自由を与えて自律的に考えさせるスタイルでなければなりません。企業のリーダーは、リカレント教育のみならず、メンバーに対して機会を提供することが求められているのです。

雇用の流動性に対応することができる

終身雇用制の崩壊により、従業員はより高い年収ややりがいを求め、積極的に転職に取り組むようになりました。裏を返せば、会社側に魅力があれば、転職をせずに居続けるともいえます。

企業がリカレント教育に積極的に取り組む姿勢を見せるなら、キャリアアップを望む従業員にとってはまさに渡りに船。雇用の流動性が高まる中でも、労働やキャリアへの意識が高い優秀な人材の確保に繋がるでしょう。

日本企業のリカレント教育の導入事例

従業員の育成と定着を目指し、日本国内でも多くの企業がリカレント教育を導入しています。実際に導入している企業の事例を通じ、リカレント教育への取り組み方について見てみましょう。

ミクシィ

株式会社ミクシィでは、全社員向けの教育支援として、様々な教育制度を導入しています。社内の専門スタッフ主導による勉強会に留まらず、社外講師を招いた研修や、外部研修への参加を支援。ロジカルシンキング研修やファシリテーション講座など、ビジネスに活きるスキルの習得を積極的にサポートしています。

参考:https://mixigroup-recruit.mixi.co.jp/life/training/

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社ではキャリア施策のひとつとして「勉学休職制度」を設けています。勤続3年以上の正社員を対象に、専門的知識や学力を身につけるために休職を許可。最長2年の間、集中的にスキルを習得する時間を提供します。この期間を活用し、資格取得や大学への再入学などが行われているようです。

参考:https://about.yahoo.co.jp/hr/workplace/welfare/

サイボウズ

サイボウズ株式会社では、退職後最長6年間はサイボウズへの復職が認められる「育自分休暇制度」を導入。学習後に安心して会社へ戻れる制度を通じ、社員の挑戦を後押ししています。6年という長期間を利用し、入社4年目の社員がアフリカで2年間のボランティアに従事する事例も生まれています。

参考:「MSD、年間最大40日のディスカバリー休暇と副業ガイドラインを導入」日本経済新聞、2018年6月1日(https://cybozu.co.jp/company/work-style/)参照:2022年5月11日

MSD

外資系の製薬会社であるMSD株式会社では、勤続1年以上の社員に対し、年間最大40日まで取得可能な「ディスカバリー休暇」制度を導入しています。「社員の成長を促し、より強い組織になることを目指す」という趣旨に合致していれば休暇の理由は不問。通常の休暇と合わせた約2か月間の長期休暇や、40週間に渡って1日ずつ取得し週休3日とするなど、あらゆる形で社員の学びの機会に繋がっています。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP481368_R00C18A6000000/

リカレント教育を企業が提供するには

多くの企業がリカレント教育に力を入れる動きを見せていますが、すべての企業が同じように制度を設計するのは困難でしょう。教育のためのプログラム作成には、多くの時間と費用が必要です。また長期休暇制度を設ける場合には、従業員が休暇をとっても問題が無いような仕組み作りや人員の確保が必要とされます。

リカレント教育の導入を目指すなら、まずは小規模な内容からスタートするのがよいでしょう。日本国内では、企業側も従業員側も取り組みやすいオンライン講座による学習が人気です。まずはスキマ時間を使った学習のサポートから、はじめてみるのはいかがでしょうか。

『心。』

稲盛和夫著の『心。』でもリカレント教育に通ずる、非常に印象的な著者のエピソードが紹介されています。著者は若い頃、自分自身がトップにふさわしい人格を備えているか、社員に自分のビジョンを伝えられているか、悩んでいたようです。そこで自分自身を磨くため、どんなに疲れていても必ず書物を1ページでも2ページ目でも読み進めようと努力しました。

今では著者は日本を代表するビジネスパーソンの一人。課題感に即した日々の学習の積み重ねが、いずれ大きな価値の創出に繋がることを示唆してくれます。

社員の多様な学びをサポートする、flier法人版

最後に当社フライヤーが提供するサービス「flier法人版」を活用したリカレント教育についてご紹介いたします。

flier法人版は、3,000冊を超えるビジネス書籍の要約を自由に閲覧できるサービスです。ビジネス書籍の数百ページを、わずか10分で読める文章量に要約。短い時間で効率よく学べる教材としてご活用いただけます。

要約の利用は社内に限らず、自宅でも可能ですので、ちょっとしたスキマ時間や移動時間を活かし、効率よく学習を進められます。flier法人版に提供される管理画面からは、各社員ごとに利用した要約を確認可能。社員ごとの学習への意欲を把握し、それぞれに適した学習プログラムを提供できます。

ビジネス書籍の要約は、毎月約30点が続々と追加。最新のビジネス知識に触れるコンテンツを、御社で製作する必要はございません。手間を掛けずにリカレント教育につながる制度をご利用いただけます。

リカレント教育の導入をまずは小規模から検討したいとお考えの企業様は、ぜひflier法人版のご利用をご検討ください。

まとめ

情報の変化が激しい現代において、社員の学習と成長が求められています。働きながら新しいスキルや知識を学べるリカレント教育の重要性は今後も増すばかり。企業にとってもリカレント教育制度の導入は必要不可欠となっていくでしょう。

一方でリカレント教育の制度には多額のコストが必要なため、一朝一夕には構築できません。これからリカレント教育に力を入れ、社員の成長を促したいと考える企業は、まずはオンライン講座のような小さな制度から導入するとよいでしょう。


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