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10分でわかる「学習する組織」VUCAの時代に見直したい組織マネジメントのアプローチ

VUCAの時代と呼ばれる現代の事業環境で、私たちはかつてないほど「学習」が求められています。そんななか、効果的なアプローチとして再び注目を集めているのが、「学習する組織」。これは、90年代にピーター・センゲによって広められた理論で、目標達成に向けた効果的な行動を取るために、「意識」と「能力」を継続的に高め続ける組織のことを指します。

ここでは、センゲの理論を中心に、「学習する組織」を支える「3つの柱」「5つのディシプリン」について紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.学習する組織とは?
  2. 2.なぜ学習する組織が重要なのか
  3. 3.学習する組織を創るための5つのディシプリン
    1. 3.1.自己マスタリー
    2. 3.2.メンタルモデル
    3. 3.3.共有ビジョン
    4. 3.4.チーム学習
    5. 3.5.システム思考
  4. 4.学習する組織の3つの柱
    1. 4.1.志を育む力
    2. 4.2.複雑性の理解
    3. 4.3.共創的な対話の展開
  5. 5.まとめ


学習する組織とは?

insta_photos/gettyimages

「学習する組織」は、変化に柔軟に対応し、その性質を変革していこうとする資質を備えた組織のことを指します。そこに所属する人たちも、現在の環境と将来の変化に柔軟に対応しようとする、学習する能力を備えています。ここでの「学習」とは、単に知識を蓄えることを指すのではなく、意識や能力などを含め、行動自体を変えていける能力のことを指します。


学習する組織は、もとはクリス・アージリスとドナルド・シェーンによって提唱され、その後ピーター・センゲによって世に広められました。


なぜ学習する組織が重要なのか

claudenakagawa/gettyimages

学習する組織が注目されるようになった背景には、時代の変化が加速していることがあります。技術や情報は日々アップデートされるようになり、過去のやり方を引き継ぎ、踏襲するやり方では、激しい変化に対応することはできなくなりました。環境の急速な変化への対応に迫られた企業にとって、主体的に学習し、意識や行動を変革し続ける社員の存在が、何よりも重要になったのです。


学習する組織を創るための5つのディシプリン

センゲは、学習する組織を実現するための方法論として5つのディシプリン(学習領域)を提示しました。「自己マスタリー」「メンタルモデル」「共有ビジョン」「チーム学習」「システム思考」の5つが相互に影響し合い、「学習する組織」を創ります。

Vadym Pastukh/gettyimages


自己マスタリー

自己マスタリーは、自分が求める結果のために、継続的な学習と自己改善を行うディシプリンです。組織の成長は、個人の学習やスキル開発、そしてビジネスパーソンとしての成長を実現することから始まります。組織内での自己マスタリーは、学習、革新、適応力を重視する文化を醸成し、従業員のエンゲージメントを高め、組織の適応力を高める効果もねらうことができます。

メンタルモデル

メンタルモデルとは、個人が周囲の世界をどのように認識するかに影響を与える、仮定、信念などを指します。先入観や固定観念は、思考や行動を狭めてしまう可能性があります。変化に対応するには、個人も組織も既存のメンタルモデルを疑い、新しい視点を得ようとしなければなりません。オープンな対話や批判的な思考によって、より効果的な思考と行動を受け入れることができます。

共有ビジョン

共有ビジョンは、組織に所属する個人のビジョンを、すべて調和させることで生み出されます。それは単に企業が掲げているビジョンを理解することとは異なり、個人が互いの理想像を共有することで、何を目指したいかという方向性を統一する効果が期待されます。メンバーの理想を包括するビジョンがあれば、組織へのコミットメントを促進し、組織を目的意識を持って前進させることができます。

チーム学習

チーム学習は、ビジョンを共有したグループで、共に学習し、対話を通して知識共有や内省を行うことで、能力を共同で高めていきます。ここには、チームメンバーが自由に意見やフィードバックを交換し、お互いの経験から学び合うことのできる、安全な環境を提供することも含まれます。チームの集合知と創造力を活用することで、より複雑な問題を解決し、ビジネス環境の変化により速く適応することができます。

システム思考

システム思考は、ものごとの全体像を見て、そこに含まれる要素の相互関係と相互依存性を考えるディシプリンです。組織や事業の一部分にだけ注目しても、その複雑な動きを理解することはできません。システムを全体としてとらえ、つながりをもった相互作用として理解しようとすることで、組織はより良い意思決定を行うことができます。


学習する組織の3つの柱

センゲの5つのディシプリンは、3つの柱となって、チームの中核的な学習能力を支えます。

maroke/gettyimages


志を育む力

チームの学習能力を支える1つ目の柱は「志を育む力」です。これに所属するディシプリンは「自己マスタリー」と「共有ビジョン」です。自らを動かす力である「自己マスタリー」と、組織で動く力である「共有ビジョン」が合わさり、自発的に行動しようとする個人が共有の想いを重ね、自律的に動く集団を作り出します。

複雑性の理解

2つ目の柱は「複雑性の理解」です。複雑性の理解には、「システム思考」が関連します。これは、問題の本質を見極めることに直結します。何か問題が起こったときに、目に見える一部分にだけ注目して考えるのではなく、全体像をとらえようとすることで、その背後に潜む根本的な原因を探り、本質的な対処法を検討することができます。

共創的な対話の展開

3つ目の柱は「共創的な対話の展開」です。共創的な対話の展開には、「メンタルモデル」と「チーム学習」が含まれます。バイアスを排除しようとする「メンタルモデル」と、オープンな対話で学習を促進する「チーム学習」によって、個人や組織に存在する先入観や固定観念を認識したうえで、創造的な対話を行います。


まとめ

学習する組織は、自律的に考え、行動する組織です。前例にとらわれずに本質的な思考ができる組織は、変化に強く、自律的に成長し続けることができるはずです。組織の持続的な成長を目指したいのであれば、学習する組織は押さえておきたい理論です。


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