10分でわかる「心理的安全性」安心な職場を作るための必読本
職場の生産性や創造性を向上させるためには、チームメンバーが安心して意見を述べ、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えることが重要です。このように「心理的安全性」が確保された職場では、従業員のエンゲージメントが高まり、イノベーションが起こりやすくなることが多くの研究で示されています。
この記事では、心理的安全性という概念を理解し、心理的安全性を実現するためのおすすめ本を紹介します。日本で「心理的安全性」という言葉を一躍有名にした『心理的安全性のつくりかた』をはじめとした、職場に心理的安全性を実現するための本を読むことで、自分の職場に心理的安全性を実現するための具体的なヒントを得ることができます。
それでは、心理的安全性を高めるための必読書籍と、それらの本を通じて得られる知識や実践方法について詳しく見ていきましょう。
目次[非表示]
- 1.心理的安全性について知る
- 1.1.心理的安全性とは?
- 1.1.1.生産性の向上
- 1.1.2.イノベーションの促進
- 1.1.3.学習と成長の促進
- 2.心理的安全性を高めるための戦略
- 2.1.職場での心理的安全性を向上させる方法
- 2.1.1.オープンなコミュニケーションを促進する
- 2.1.2.失敗を許容する
- 2.1.3.フィードバックの文化を育てる
- 2.1.4.透明性を確保する
- 2.2.リーダーシップの役割を明確化する
- 2.2.1.リーダーが見本となる行動をとる
- 2.2.2.温かい声がけや励まし
- 2.2.3.互いにサポートする文化の醸成
- 2.2.4.ダイバーシティ&インクルージョンの推進
- 3.心理的安全性を理解するための本
- 3.1.心理的安全性に関する必読書
- 4.まとめ
心理的安全性について知る
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、チームメンバーが意見を述べたり自己表現をしたりする際に、周囲からの否定や非難を恐れずに、安心して発言できる状態を指します。この概念は、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授によって提唱されました。心理的安全性が高いチームでは、メンバーがリスクを恐れずに挑戦し、創造的なアイデアを出し合うことができるため、パフォーマンスが向上しやすいといわれています。
エドモンドソン教授の研究によると、心理的安全性の高い職場環境では、以下のような効果が期待できます。
生産性の向上
メンバーが自由に忌憚なく意見を述べることで、情報共有が円滑に行われ、問題解決までのプロセスがスムーズになります。
イノベーションの促進
失敗を恐れず挑戦することが奨励されることにより、新しいアイデアや創造的な解決策が生まれやすくなります。
学習と成長の促進
挑戦が歓迎されることで、メンバーは学ぶ意欲を持つことができ、個人やチームの成長も促進されます。
誤解されがちですが、メンバーが安心できる状態になりさえすれば、心理的安全性のある職場になるというわけではありません。単にメンバーが安心できるだけでは、アットホームではあるけれど、建設的な意見交換はできない、生産性の低い職場になりかねません。重要なのは、メンバーがチームに積極的に関わり、反対意見も気軽に言える状態であること、そしてメンバー同士がお互いに支え合う文化を築くことです。
心理的安全性を高めるための戦略
職場での心理的安全性を向上させる方法
TarikVision/gettyimages
次に、職場で心理的安全性を高めるための具体的な戦略について見ていきましょう。職場で心理的安全性を高めるためには、意識的な取り組みと具体的な戦略が必要です。
職場に心理的安全性を実現するには、リーダーの役割が非常に重要です。しかし、どんな立場の人であっても、心理的安全性を意識した行動をとることで、チームの雰囲気を変えていくことは可能です。まずは自分のできる行動から始めてみるとよいでしょう。
オープンなコミュニケーションを促進する
すべての従業員が自由に意見を述べることができるコミュニケーションは、オープンコミュニケーションと呼ばれます。雑談などを含め気軽に声がけをしあえる関係の構築や、誰もが情報にアクセスできる状態をつくることが重要です。
失敗を許容する
失敗が咎められる環境では、意欲的な挑戦は起こりづらくなるものです。失敗を責めるのではなく、そこから学ぼうとする姿勢を示すことで、失敗を許容する文化を育てることができます。
フィードバックの文化を育てる
フィードバックは成長の種です。建設的なフィードバックを日常的に行い、失敗や問題点を共有し合うことで、メンバーが安心して意見を述べられる環境を作ることができます。
透明性を確保する
重要な決定事項が一部の人だけに知らされるなど、メンバー間に情報格差がある状態は、心理的安全性を育むうえでは望ましくありません。重要事項に関わるドキュメントや、プロジェクトの進捗状況などの情報に全員がアクセスできるようにするなど、決定事項や重要事項を全員に隠さずに共有することで、信頼関係を築くことができます。
リーダーシップの役割を明確化する
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リーダーは職場での心理的安全性に大きな影響を与えます。リーダーが心理的安全性を高めるための役割を効果的に果たすことができれば、チーム全体の心理的安全性が高まり、生産性や創造性の向上を目指すことができます。
リーダーが見本となる行動をとる
心理的安全性を高める行動をリーダーが率先してとり、メンバーに行動規範を示すことができれば、チームの心理的安全性はおのずと高まっていきます。たとえば、リーダー自身がオープンに意見を述べ、メンバーの意見を肯定的に受け止め、失敗を許容する姿勢を示すことで、メンバーも同様の行動をとるようになるでしょう。
温かい声がけや励まし
メンバーをサポートし、各自が自主的に行動できるよう励ますこともリーダーの重要な役割です。メンバーの意見を尊重し、それぞれの人の貢献を認めることで、職場やチームの心理的安全性は高まっていきます。
互いにサポートする文化の醸成
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チーム全体で目標を共有し、それに向かって協力し合うことで、メンバー同士の絆は自然と育まれていきます。目標達成のためにサポートし合う文化を育むことは、チームに心理的安全性を実現することにつながっていきます。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
多様なバックグラウンドや視点を持つメンバーが安心して意見を述べられる環境を作ることも、心理的安全性の実現のために重要な視点です。リーダーが多様性を尊重する姿勢を見せることで、メンバーそれぞれがチームに自分の居場所を感じることができます。差別や偏見をなくすための取り組みもここに含まれます。
心理的安全性を理解するための本
心理的安全性に関する必読書
最後に、心理的安全性をテーマにしたおすすめの本を3 冊紹介します。心理的安全性を高めるための理論を理解し、具体的なアクションに落とし込むために、本の力を借りてみましょう。
『心理的安全性のつくりかた』 (石井遼介/日本能率協会マネジメントセンター)
日本に「心理的安全性」の考えを広めた一冊と言っても過言ではない本書は、一番売れている心理的安全性の本でもあります。心理的安全性の基本的な概念から、職場への実践方法までが網羅されているので、心理的安全性について学び始めたばかりの人でも、無理なく理解しながら読み進めることができます。
心理的安全性の考え方を日本の職場に合うかたちに落とし込んであるところも、本書の特徴です。具体的なケーススタディや実例から、自分の職場への応用を考えることもできるでしょう。
『心理的安全性をつくる言葉55』(原田将嗣/飛鳥新社)
心理的安全性をつくるために、何から始めればよいのか迷ったら、まずは言葉を変えてみましょう。『心理的安全性をつくる言葉55』は、心理的安全性を高めるために重要な因子として「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」の4つを挙げ、すぐに使える「心理的安全性を高める言葉」55種類を紹介しています。その意味を理解して、正しくフレーズを使えば、誰でも自分の所属する組織の心理的安全性を高めることに貢献できると期待が持てる一冊です。
『心理的安全性を高めるリーダーの声かけベスト100』 (田中弦/ダイヤモンド社)
3冊目は、心理的安全性向上のために、リーダーが積極的に口にしたい声かけフレーズを100種類紹介する『心理的安全性を高めるリーダーの声かけベスト100』です。心理的安全性の重要性は多くのリーダーが理解はしているはずです。しかし、いざ実際にどんな言葉を口にしたら心理的安全性のある職場が実現できるのかについては自信がない人が多いのではないでしょうか。本書を読めば、職場のあらゆる場面で使える声がけを一気に知ることができます。
まとめ
Rudzhan Nagiev/gettyimages
心理的安全性は、現代の職場において不可欠な要素です。メンバーが安心して意見を述べ、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えることで、組織全体のパフォーマンスが向上し、創造性やイノベーションが促進されることが期待できます。この記事で紹介した本は、心理的安全性への理解を深め、次のアクションを考えるために役立つことでしょう。
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