多くの企業で新人教育の要として導入されている「OJT(On-the-Job Training)」。実際の業務を通じて学ぶこの方法は、新入社員が実践的なスキルを迅速に身につける上で非常に効果的です。しかしその一方で、「現場任せで計画性がない」「教える側の負担が大きすぎる」「新人の成長にばらつきが出てしまう」といった課題を抱えている企業が多いのも事実です。せっかくのOJT研修が台無しになり、期待した成果につながっていないケースも少なくありません。この記事では、OJT研修がなぜ重要なのかを再確認するとともに、多くの企業が陥りがちな失敗の原因を解説します。その上で、OJTの効果を最大限に引き出し、新入社員と組織の双方にとって価値あるものにするための具体的なステップと成功の秘訣をご紹介します。要点1OJTは、新入社員が実践的なスキルを習得するための効果的な研修方法だが、計画性などが必要。要点2効果的なOJTの実現には、「育成計画」、「環境整備」、「フィードバックの仕組み」が不可欠である。要点3flier businessは、OJT指導者が教え方やコーチングの知識を深めたり、新人が自ら学ぶ習慣を身につけたりする上で最適であり、OJTの質を飛躍的に高める。目次OJT研修とは? なぜ今あらためて重要なのかmaroke/gettyimagesOJT(On-the-Job Training)とは、実際の職場で実務をこなしながら、業務に必要な知識やスキル、技術を習得していく育成手法のことです。集合研修などのOff-JT(Off-the-Job Training)とは異なり、日々の業務そのものが学びの場となるのが最大の特徴です。個々の新入社員のペースに合わせて指導できるため、実践的なスキルが身につきやすく、即戦力化を期待できます。また、指導者である先輩社員とのコミュニケーションを通じて、職場への早期の適応や関係構築が促進されるというメリットもあります。変化の激しい現代において、マニュアル通りの知識だけでは対応できない場面が増えています。だからこそ、現場での実践的な経験を通じて、自ら考えて行動できる人材を育てるOJTの重要性が、今あらためて高まっているのです。OJT研修がうまくいかない3つの理由多くの企業で導入されているOJTですが、その運用に課題を感じている声も少なくありません。なぜOJTは失敗に終わってしまうのでしょうか。主な理由を3つご紹介します。理由1:不明確な育成計画と現場への丸投げ最も多い失敗例が、「とりあえず現場の先輩につけておこう」という、いわゆる「現場任せ」のOJTです。明確な育成計画やゴール設定がないままでは、指導は場当たり的になりがちです。指導者によって教える内容や質がバラバラになり、新入社員は何をどのレベルまで習得すればよいのか分からず、不安を感じてしまいます。理由2:指導者(OJTトレーナー)の負担とスキルのばらつきOJTトレーナーに任命された先輩社員は、自身の通常業務に加えて、新人の育成という大きな役割を担うことになります。十分なサポート体制がないままでは、トレーナーの負担は増大し、指導がおろそかになってしまう可能性があります。また、プレイヤーとして優秀な社員が、必ずしも教えるのが上手であるとは限りません。指導スキルに個人差があることで、新人の成長スピードにも差が生まれてしまうのです。理由3:評価・フィードバックの仕組みが不十分「見て覚えろ」といった旧来の指導法では、新入社員は自分が正しく業務を遂行できているのか、成長できているのかを実感することができません。成長実感の欠如は、モチベーションの低下や早期離職の大きな原因となります。何をもって「できるようになった」と判断するのか、その基準が曖昧なままでは適切なフィードバックを行うことも困難です。OJT研修を成功に導く4つのステップでは、OJT研修を成功させるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。ここでは、効果的なOJTを実施するための4つのステップをご紹介します。ステップ1:育成計画(OJT計画書)を作成するまず不可欠なのが、具体的な育成計画の策定です。「誰が」「いつまでに」「何を」「どのレベルまで」できるようになるのか、という目標を明確に言語化し、関係者全員で共有しましょう。OJT計画書としてドキュメントに落とし込むことで、指導の進捗が可視化され、計画的な育成が可能になります。ステップ2:OJTトレーナーの役割を明確にし、支援するOJTトレーナーには、育成の目的やゴール、期待する役割を事前にしっかりと伝えましょう。また、トレーナー任せにせず、人事部や上司が一体となってサポートする体制を整えることが重要です。指導方法に関する研修を実施したり、トレーナー同士が悩みを共有できる場を設けたりするなど、会社としてトレーナーを支える姿勢が求められます。ステップ3:指導の基本サイクルを徹底する効果的な指導には、「4段階職業指導法」と呼ばれる基本サイクルがあります。やってみせる(Show): まず先輩が手本を見せる。説明する(Tell): 仕事の目的や手順、ポイントを具体的に説明する。やらせてみる(Do): 新入社員本人にやってもらう。評価・追加指導(Check): 結果を評価し、改善点をフィードバックする。このサイクルを意識的に回すことで、新入社員は着実に業務を習得していくことができます。ステップ4:定期的な振り返りと対話の場を設けるOJT期間中は、トレーナーと新入社員、そしてその上司も交えて、定期的に進捗を確認し、振り返る機会を持つことが大切です。1on1ミーティングなどを活用し、業務の習得度だけでなく、新入社員が抱える不安や悩みに耳を傾け、対話を通じて解消していくことで、成長を力強く後押しすることができます。OJT研修の効果を高めるためにclaudenakagawa/gettyimagesOJT研修は、新入社員を育てるための強力な手法ですが、万能ではありません。OJTで実践的なスキルを磨くと同時に、集合研修(Off-JT)でビジネスマナーや業界知識といった基礎を体系的に学ぶなど、両者を効果的に組み合わせることが、育成効果の最大化につながります。また、指導者から教わるだけでなく、新入社員自身が「自ら学ぶ力」を身につけることも、変化の時代を生き抜く上で不可欠です。OJTで直面した課題や、さらに深めたい知識について、自律的に学習する習慣を後押しする環境を整えることが、企業の持続的な成長の鍵となります。flier businessでOJT研修の質を向上させようOJTは、指導者のスキルと新入社員の学ぶ意欲によって成長度合いに差が出てしまいます。本の要約サービス「flier」の法人版である「flier business」は、この両面からOJTをサポートすることができます。例えば、OJTトレーナーは、コーチングやフィードバック、リーダーシップに関する書籍の要約を読むことで、指導に必要なスキルを短時間でインプットすることができます。一方、新入社員は、担当業務に関連する知識やビジネスの基礎について、1冊10分で読める要約を通じて自律的に学ぶことが可能です。OJTの効果を最大化し、社員一人ひとりの成長が組織の力となる学習文化を醸成するために「flier business」の導入を検討してみませんか?資料請求はこちらから